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人、まち、想い。音楽の力でつなぐ未来

音楽の力 イメージ画像

夕暮れ時にふと聞こえてくる・・・街角のピアノ音に心を動かされた経験はありませんか?
「ストリートピアノ」(通称、街角ピアノ)はNHK・BSの番組放送やYoutube動画で観たことがある方もいらっしゃるかもしれません。
実は、日本で最初にストリートピアノが設置されたのは九州は鹿児島の「鹿児島中央駅一番商店街」でした。イギリスで「Play Me, I’m Yours」というストリートピアノの音楽ツアーが行われていることを知った「鹿児島まち自慢快発考舎」のイベント主催者が地域活性アイデアとして取り入れたのです。
その後も鹿児島を中心として九州地方で広がっていったストリートピアノの普及。
ここ北九州でも一般社団法人ストリートピアノドネーションズによってストリートピアノ普及がなされ、小倉駅JAM広場には2023年3月に設置。ミニコンサートも開催されています。

 本日は、そんなストリートピアノが目指す人や街の「つながり」創りについて考えてみたいと思います。

■音楽の力で街をエンパワーする

昨今、地方では少子高齢化が進み、地元の自治会や町内会などの存在が希薄になってきています。老若男女がざっくばらんにコミュニケーションする場が少なくなる中で市場や商店街でも交流や会話が少なくなっています。
孤独を1人で抱えこむことなく、それぞれが自発的に声をかけあう雰囲気、〝助け合いの共生社会〟を創ることが今後ますます求められます。そのような社会背景の中で、地域の「つながり」づくりを音楽によって叶えている街があります。
アーティストによる音楽ツアーや音楽フェスの開催は「音楽ツーリズム」を産みだすとしてアフターコロナの地方創生で注目されていますが、街中や施設内においても音楽の力が見直されています。
「ストリートピアノ」については、ピアノに施されたアートがOOH媒体の役割を果たしたり、それを起点とした地域再生、空間コンテンツ創り、ユーザ参加型という点ではインタラクティブな要素があり、〝予想外のつながり〟を創出する可能性があるのです。

下記に国内で開催されたイベント事例をご紹介します。

■「Play Me I‘m Yours」 (2018年東京・国立市)

「Play Me I‘m Yours」はもともとはイギリス発祥のアートプロジェクトでアーティストのルーク・ジェラム氏がバーミンガム市内にアート装飾をした15台のアート・ピアノを設置したことに始まり、今や60以上の世界中の都市に広まっています。
(新型コロナウイルスの影響で直近は開催が中止されていました)
Youtubeでは世界各国で開催された事例も見られるのでご覧になってみてください。
国内では東京・国立市で開催されたものが約6万人もの人が訪問したイベントとなっています。

参考引用:
<Youtube>

「しまなみLove Piano」愛媛県(2022年10月22日(土)〜11月4日(金)開催)

LovePiano」は、ヤマハミュージックジャパンが2017年秋からスタートした音楽の力による地域活性プロジェクトで駅や空港、商業施設などのオープンスペースに「LovePiano」をテーマにペイントしたピアノを提供しています。過去にはJR新宿駅、JR札幌駅、東京湾アクアライン・海ほたるパーキングエリア、大阪国際空港(伊丹空港)、星野リゾートなど全国の100か所以上で展開がされました。
緊急事態宣言解除後の2022年に開催された愛媛・しまなみ街道での「しまなみLove Piano」はサービスエリア内にピアノを設置したイベントで話題となりました。
単にトイレ休憩などに立ち寄る場所として認知されていたサービスエリアが、ピアノ演奏目的に一般道からも入って来られるお客様が増え、物販エリアでの買い物、フードコートで食事を楽しんだりと集客につながり、空間の活用法として注目されました。
SNSでは、#しまなみLovePianoというハッシュタグ投稿プレゼントキャンペーンを実施。地域PRにもつながっています。

■もっと自然に、街中で笑顔を増やすには?

上記の事例はミニコンサートなど「イベント」の開催でストリートピアノに価値を生み出せた事例です。しかし、駅や空港にただ“置いてあるだけ”のピアノだと、まだまだ日本では自発的にエンターテインメントやミラクルな出会いや繋がりが生まれることが少ないです。
そこで、求められるのがクリエイティブ・コミュニケーションアイデアです。
ただのピアノではない、ただならぬピアノ、ピアノの代わりにほかのものだったらどうでしょうか?
つい、話かけてしまうような、仕掛けは?
自然に、楽しく、つながれるものがあれば素敵ですよね。
日本人はシャイで自分で自分のことを人に話したり、悩みを相談したり、人に声をかけるのが苦手な人がとても多いです。
今、職場で、家庭で、街で、それぞれが「自分らしく」生きることを認めあうこと・・・「今ここに感謝」できること・・・個人のウェルビーイングを考えることが重要になってきています。
なぜなら、いくら理想のコンテンツがあっても、理想の空間を建設したとしても、そこに住む人がそれぞれが「私でよかった」と思え、オープンマインドにならないと他者と繋がることなどできないからです。
自発的に声をかけあって笑顔になれる空間、純粋に「楽しい!」となる感覚をもっと体験できる人が増えるよう、人々の「意識」から変えていくアイデアも必要そうです。

■音が人の心に与える影響とは?

普段、何気なく聞こえてくる「音」には様々な効果があります。
ただし、どんな音でもいいのではありません。ある一定の旋律や音色が人の心を癒したり、自律神経や脳に作用します。心理学の世界では「音楽心理学」という領域があり、トーン、テンポ、曲調などによって音楽が人に与える影響について研究もなされています。
昨今、Z世代だけでなくシニア世代にも利用者が増えている「TikTok」動画でもこの「音楽」を駆使したクリエイティブが積極的に取り入れられており、私たちは心地よいリズムや、聞きなれた曲に思わず反応してしまうことがあります。
Z世代の若者の多くは、お気に入りの音に反応すると、“ノリが合う”、“チルい”などと共感し、自分たちならではの新しい「つながり」を生み出しています。

いかがでしたか?街や人を元気にして“つながり”を生み出す、音楽の力。
インバウンドや地域活性の観点で注目されており、メンタルケアの側面からもウェルビーイングを叶える手段になるとも言われています。
今後ますます少子高齢化する地方地域では、若者・シニアそれぞれの傾向を考慮しながら音を活用したコミュニケーションをデザインすることが求められそうです。一方で人の意識を変え、行動を変え、習慣を変えていくような取り組みも地道に継続することが理想です。
地域の皆様、企業の皆様とご一緒に “つながるためのヒント”を考えていきたいものです。

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TEXT BY コミュニケーションデザイン本部 N

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